シッピング・インストラクション

Shipping Instruction(シッピング・インストラクション)は、簡単に言えば船会社が発行するB/Lの作成指示書です。B/Lに記載すべき内容をこの書類で荷主が指定し、その内容をもとにB/Lが作成されます。また、B/Lのボディー欄には輸出する貨物の情報が記載されますが、記載すべき項目は多い場合はB/Lのボディー欄には"DETAILS AS PER ATTACHD SHEET"と表記して、貨物のリストをATTACHED SHEETとしてB/Lに添付することもできます。

 

SHIPPING INSTRUCTION

Shipping Instructionは通常の貿易業務では "S/I"と略されることが多く、「船積指示書」と呼ばれこともあります。この書類に関しては決まったフォーマットはありませんので自由な書式で作成できますが、一般的に下記の内容が含めて作成します。

  1. 荷送人 (Shipper) の情報
  2. 荷受人 (Consignee) の情報
  3. Notify Partyの情報
  4. 本船名と航海番号(Vessel and Voy No.)
  5. 積荷港 (Port of Loading)
  6. 荷揚げ港 (Port of Discharge)
  7. 船会社 (Carrier)
  8. Booking No.
  9. 貨物の情報(Description of Goods, Weight, Measurement)
  10. シッピングマークおよび個数(Marks and Numbers)
  11. Original B/Lの発行部数 (Number of Original B/L)
  12. B/Lの発行地 (Place of B/L Issue)
  13. 海上運賃の支払い方法 (Freight Prepaid or Collect)
  14. 海上運賃の支払地 (Payable at) 

サンプルの書類は中古車1台をRORO船で輸出する場合のShipping Instructionの参考例です。(クリックすると画像が拡大します。)この参考例では、B/Lのボディー欄に車両のBRAND NAME、MODEL YEAR、CHASSIS NUMBERを記載するように指定していますが、中古車の輸出では輸入者からの指示で車両のエンジン番号や排気量、HS CODEなどを記載することもあります。輸入者から何か指定がある場合はその内容をShipping Instructionに記載してB/Lに表記されるよう船会社に指示します。NOTIFY PARTYは貨物の到着を誰に連絡したらよいのかを指定する項目で、輸入者が輸入通関を依頼する物流会社の情報を記載することが多いですが、特に指定がない場合は "SAME AS CONSIGNEE"と記載して貨物の荷受人に貨物の到着の通知がされるように指定します。このようにB/Lの記載内容は輸入者の意向に沿って作成されるべきものですので、B/Lに記載すべき内容を輸入者に確認をしてShipping Instructionでその内容を船会社に指示します。

 

ATTACHED SHEET

B/Lのボディー欄に貨物の明細を記載しきれない場合は、B/L本体には"DETAILS AS PER ATTACHED SHEET"と記載し、B/LにATTACHED SHEETを添付することができます。下記の参考例は海上混載輸送(LCL)で自動車部品輸出する場合のShipping InstructionとAttached Sheetの例です。(画像をクリックすると拡大表示されます。)

1.Shipping Instruction03A Instruction
2.Attached Sheet03B Attched Sheet
 

まとめ

 船会社へのB/L作成の指示書となるShipping Instructionについて解説をしました。Shipping Instructionは通関用のInvoice、Packing Listを輸出通関申告を依頼する通関業者に差し入れする際に一緒に差し入れをします。そのあとは通関業者が船会社と連携して適切に処理をします。かつては船会社ごとに異なるフォーマットのカーボン複写のドックレシート(Dock Receip)にShipping Instructionの内容を通関業者がタイプアップして船会社へ書類の差し入れをしていましたが、今はACLで情報を送信し船会社はACLデータからB/Lを作成するという方式が主流となっています。

Shipping Instructionの記載に間違いがあると間違った内容のB/Lが作成されてしまいますので、通常の貿易業務では輸入者に作成したShipping Instructionをメールして記載内容に間違いがないか確認をしてから通関業者に書類の差し入れをします。B/L発行後に間違いに気づいた場合にはB/L訂正をすることが可能ですが、ほとんどの船会社でB/L訂正料が請求されますので、Shipping Instructionの時点で間違いがないように注意する必要があると思います。