船荷証券(B/L)

海上輸送で輸出の輸送の手配をした場合、船会社からB/LまたはWaybillが発行されます。航空輸送であれば、Air Waybillが発行されます。

B/L (Bill of Lading)

B/Lは、船会社が荷送人との間で運送契約に基づいて、貨物を受け取り、船積したことを証明する書類で、通常、Original B/Lが3部とNon-Nego Copyが3~4部という組み合わせで発行されます。この中で重要なのは3部は発行されるOriginal B/Lで、Original B/Lには次のような性質があります。

  1. 船会社との運送契約書
  2. 貨物の引渡しの際に必要となる引換証
  3. 貿易代金決済(L/C決済)の時に必要となる有価証券

まず第一にB/Lには船会社との運送契約書としての役割があります。本船名、積み地、仕向け地、貨物の内容などの記載がありますので、どんな貨物をどこからどこまで輸送するのかということを明示する運送契約書という側面がまずあると思います。

次に貨物の引換証としての役割では、仕向け先の船会社の代理店に3部あるOriginal B/Lのうちどれか1部を差し入れすれば貨物の引取りが可能となりますので、客先にはFirst OriginalとSecond Originalの2部をEMSやDHLなどの国際宅配便で発送して、輸送中の万が一の紛失に備えてThird Originalの1部を手元に残しておきます。B/Lは本船出港後に発行されますので、アジア域内などで輸送日数が短い地域への輸出ときは貨物が到着する前にB/Lを客先へ届けることが難しいことがあります。例えば韓国の釜山へ輸出する場合は輸送日数が1日で、本船出港の翌日には貨物が到着してしまいます。こういう場合はB/Lの元地回収(サレンダー)の処理をして、本船到着後すぐに貨物の引き取りができるようにします。B/Lの元地回収とは、船会社から発行された3部のOriginal B/Lを船会社へ差し入れてB/Lに記載されている荷受人への貨物の引き渡しを依頼することで、元地回収の依頼をするとOriginal B/L”に”SURRENDER”のスタンプを押したB/Lコピーをもらえますので、この書類を客先にメールします。B/Lをサレンダーして荷受人に貨物の引き渡しを依頼するというこの一連のプロセスをTelex Releaseともいいます。

信用状(L/C)取引ではB/Lの性質の3番目の有価証券としての機能が役目を果たします。信用状取引ではB/Lの荷受人(Consignee)の欄は必ず”TO ORDER”で作成するように指示されます。荷受人が"TO ORDER"で荷主(Shipper)がB/Lに裏書した場合は、B/Lの持参人であれば誰でも貨物の引き取りができる状態になりますので、裏書したB/Lを渡すということは貨物の所有権を譲渡することと同じことになります。したがって、信用状取引ではOriginal B/L3部ともすべてに裏書をして日本のL/Cの買取銀行に差し入れをします。日本の買取銀行は輸出先の信用状開設銀行へそのB/Lを発送しますので、信用状開設銀行へ貨物の所有権が移転することになります。信用状開設銀行は輸入者から支払いを受けて代金の回収をすると、B/Lを輸入者へ引き渡して、輸入者は船会社から貨物の引き渡しを受けるというのが信用状取引の一連の流れです。信用状取引については、細かな注意点などありますので、別に機会を設けて詳しい解説をしたいと思います、ここではB/Lの有価証券としての役割について理解していただければと思います。

Waybill

Waybillは、B/Lと同様に船会社が発行する書類ですが、B/Lと違いは有価証券の意味合いはなく貨物の預かり証のような役割をする書類であるということです。Waybillに記載されているConsigneeが船会社に行けば貨物の引取りができますので、B/Lの原本の発送やB/Lサレンダーのような手間がなく迅速に貨物の引渡しができるので便利です。しかし、船積後に代金を受け取るような取引条件ではWaybillを使用すべきではありません。なぜなら貨物が仕向け港に到着したあとに、荷受人への貨物の引き渡しを保留することができないからです。たとえば、船積み前に半金、船積み後に残金の受け取りをする支払い条件の場合は、通常のB/Lで書類の手配をして残金受け取り後にB/Lをサレンダーして荷受人に貨物の引き渡しをするというのが一般的な業務の流れです。

Air Waybill

Air Waybillは、海上輸送のWaybillの航空輸送版と考えて差し支えないと思います。有価証券の意味合いはなく、荷送人から荷受人への貨物運送通知書です。このため荷受人は運送人(航空会社、航空貨物代理店等)に対して荷受人であることを証明すれば、Air Waybillの原本を運送人へ提出しなくとも貨物の引き取りが可能です。